IWABEメッセージ
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第9回 「花はさくら」
桜の季節となります。
本当に日本人は桜の花が大好きで、お花見に興じることは勿論、桜餅に代表される桜風味のお菓子を好んで食べたり、広告や室内装飾を桜色に染めたりして、巷は桜一色の様相を呈することになります。
桜の名所も全国にあります。山梨・山高神代桜、岐阜・根尾の薄墨桜、福島・三春の滝桜が日本三大桜。奈良・吉野山、青森・弘前公園、長野・高遠城址公園が日本三大桜名所。この他にも美しい桜に出会える場所は沢山あるでしょう。
桜の語源は、日本神話の 「木花開耶姫(コノハナサクヤヒメ)」 (富士山の女神)と言われていますが、日本で花と言えば「梅」という時代がありました。日本文化発展のために遣隋使や遣唐使として派遣された日本のインテリ達は、何事もお手本を中国文化に求め、帰国しては花と言えば梅だと主張したのです。何故ならば、当時中国で最も愛でられていた花は梅だったからです。ところが、平安時代になって日本本来の独自文化が尊ばれるようになり、そのため花と言えば桜であると考えられるようになりました。
ここで言う桜とはヤマザクラという日本古来の自生種のことです。 花と葉が同時に姿を現します。 よく見慣れているソメイヨシノは、江戸時代末期に関東の染井村の植木職人達がエドヒガンとオオシマザクラを掛け合わせて人工的に作った園芸種で、寿命は短いものの栽培しやすかったこともあり、特に明治以降、学校やら沿道やら至るところに植えられました。我々の身近に多く見られ、満開の花にはボリューム感もあるので、桜と聞くとすぐにソメイヨシノを思い出してしまうのですが、日本の伝統的な意味での桜は何と言ってもヤマザクラなのです。
本居宣長は著書『玉勝間』でこう言っています。「花はさくら、桜は、山桜の、葉あかくてりて、ほそきが、まばらにまじりて、花しげく咲たるは、またたぐふべき物もなく、うき世のものとも思われず」。要は「ヤマザクラ最高!」ということです。
「しき嶋のやまとこころを人とはば朝日ににほふ山さくら花」とは彼の有名な歌です。歌意は「自然で素朴な心情、素直に穏やかにしみじみと情趣を知ることができる感覚、こうした日本人が本来持ち合わせている心持ちとはどのようなものかと問われれば、それは朝日に照らされて美しく鮮やかに咲く山桜の花のようなものだと答えよう」といったところでしょうか。
ここには散る桜花にかけて「見事に果てて死ぬ」などということを勧める意図など微塵もありません。きれいに咲くということに只々感激するという飾り気のない気持ちだけです。
さらに言えば、桜は咲いているときだけではなく、葉桜のとき、その葉すら散って幹と枝が寒風に耐えているとき、そこに少し赤みが差してきたとき、つぼみが膨らみつつあるとき、というように一年を通して愛でるものなのです。その時々にはその時々なりの美しさがあるのです。桜とは始まりであり、終わりであり、また始まりでもあります。
建設の仕事も、その工程の時々において腕の見せどころ、技の発揮しどころ・極めどころがあり、そのどの時点もそれぞれに、安全のうちに高品質で見事な仕事を仕上げるために重要不可欠な「魅せ場」となります。工事はすべての時点で人々の評価にさらされています。その評価の積み重ねが、竣工時に「見事だ」「素晴らしい」という感嘆の称賛を導いてくれるに違いありません。
桜は、寒風吹きすさぶ中でも、暴風雨の中でも、灼熱の炎天下でも、じっと耐えて1日1日成長を続け、満開を迎えようとします。1日とて意味のない日はありません。開花日を迎え、多くの人々に愛でられると、その人々はもう来年の開花を期待するのです。
お客様からの信頼と信用を大切にし、受注から竣工引渡に至るまでのいつでも丁寧かつ美しい仕事を心がけ、評価をしていただいた暁には、次の施工を期待される……。
街が桜色に染まるとき、会社も仕事も、朝日に匂う山桜花のようにありたいとしみじみ思います。
季節の変わり目でもあります。体調を整え、明るく元気に仕事に取り組みましょう。
ご安全に!