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第3回 「ソクラテスと報連相」

 古代ギリシャの哲人ソクラテスは、 あれほど有名であるにもかかわらず、 1冊の著作も残していません。 ソクラテスの思想や言動は、弟子のプラトン、 そのまた弟子のアリストテレスなどの著作によって伝えられているのみです。 ソクラテスの著作が散逸したのではなく、 元々書き残すという行為を取らなかったのです。彼は、文字によって記された 「文章」 を信用していなかったのでしょう。 物事の真理の探究は、生身の人間との柔軟な 「対話」 という方法でしかなしえないという考え方なのです。
 ある日、 デルフォイの神殿を訪れた弟子のカイレフォンは、 そこの巫女から 「 ソクラテス以上の賢者はいない 」 というお告げを受け、それをソクラテスに伝えました。ソクラテスは驚き、 「 私より賢い人はたくさんいるはずだ 」 として、 それを確かめるべく世評有名な 「賢者」 とあれこれ問答してみます。 そこでわかったことは、 世の中で 「賢者」とか 「有識者」 と言われている人は、 実は何も知らないのに知っているふりをしているだけだということ、 その点自分は、 自分が何も知らないということを知っているという自覚があるだけ彼らより多少は賢いということでした。いわゆる 「 無知の知 」 です。
 完璧で万能な人間はいません。 人それぞれ得手不得手があり、 また知らないことも山ほどあります。 しかし、 知らないことや難解な事柄を思い込みや誤った情報によって一人合点で処理したり放置したりすることは、 何ら問題の解決にはつながりません。 それどころか解決を困難にします。
 知らないことを自覚し難解な事柄に直面した場合は、 即座に関係者に問いかけるべきです。つまり、 報告・連絡・相談です。できればその人と対面してコミュニケーションを図るのがよいでしょう。 話してみて初めてわかることもあります。対話を通じて不足を補う。 三人寄れば文殊の知恵。 これができれば、 知ったかぶりをする 「賢者」 よりも賢いソクラテスと同じぐらいに立派だと思います。
 とは言え、 「言うは易し、 行うは難し」 です。 先ずはできることから少しずつでも心がけるようにしてはどうでしょうか。 何となれば、それは組織に不可欠なことだからです。
 さて、 季節の変わり目、 気象変化も激しいです。 体調管理と現場管理、 ともに引き続き十分留意してください。ご安全に!

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