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第219回 職人の技を守れ

 祠峰土地区画整理組合の造成地には、まだ宅地の残数があります。今も土地単価が下りつづけて坪当たり約20万円程度だそうです。我家から徒歩2~3分の所は建設ラッシュで10棟ほど建築中です。木造住宅の建前はやはり心が弾みます。日曜日ではありますが忙しく働いています。建物を見ていると棟梁が電気ノコギリを持っていとも簡単に柱を切っています。職人業を期待していたのになんとなく寂しいかぎりです。新建材が多く、金物を多用している在来工法です。人手を省き、安く速く作業をして何によりも利益を稼ぐためなのでしょう。
 どのハウスメーカーも工務店も含め同様です。「品確法」で定められた長期優良住宅の仕様に認められた工法なのでしょう。釘ではなく、ホチキス。薄板プレートをビスでもむ。軽量のスレート葺です。外材中心で、高温で短時間の強制乾燥、集成材が構造材、筋違、火打梁は無くベニヤ15mmで固められています。一種の剛構造で、地震時は傾きをわずかに認める工法です。瑕疵担保履行法による保証期間10年もてば良としているのでしょうか。専門家なら買付することを少々疑問に思います。原木が50年材であれば、50年は使用出来る家が建つと言います。そして、職人の伝統工法で木材を適材適所に配置して、地震に強く長持ちさせ、木の成分で健康的な生活を満喫することが出来るのです。人生の喜びとは、徒然草ではないですが夏を涼しく生活し、縁側で夕日を眺めながら共に語らい茶を啜る、これが日本家屋の極みではないでしょうか。世界一の古い大規模な木造建築は「法隆寺」です。巨大建造物は、三本柱で話題となった「出雲大社」。何度も火災に遭った「東大寺大仏殿」、そして「京都御所」である。これこそ伝承文化が職人の技を生んだといえます。「 雲太、和二、京三」の言葉が平安中期の「口遊」にも伝えられてます。
 豊田市で建設したN邸は再生建築です。足助の自然が生んだ桧や赤松と職人文化の伝統との組み合わせで、みごとに甦りました。法改正だけでは、生きた木材と技を持つ文化は生まれないと思います。林業と共に土や紙そしてタタラ(金物)、道具としてのノミやノコギリ、またカンナとチョウナの技術をこれからも認めさせることは出来るでしょうか。現代の住宅建設を眺めて考えてしまいました。

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