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第236回 秋刀魚の歌

 「目黒のさんま」にちなんだ恒例のさんま祭りが9月4日に東京都品川区のJR目黒駅東口一帯で開かれ、岩手県宮古市産のサンマが煙立ちのぼらせ振る舞われました。県立宮古水産高が加工実習で作ったサンマの缶詰も同時に販売されました。えびせんべいの里の白藤社長が被災地で購入して、分けてくださった、あの泥のついた、おいしいサンマの缶詰と同じです。「こんなに喜んでくれるなら頑張ろうって思える」と声を弾ませた生徒達の喜びの声もまた楽しそうです。詩人、佐藤春夫作の「秋刀魚の歌」がなんとなく寂しく口遊む「あはれ、秋かぜよ、情あらば伝へてよ、男ありて、今日の夕餉にひとりさんまを食ひて思ひにふけると。さんま、さんま、さんま苦いか塩っぱいかそが上に熱き涙をしたたらせてさんまを食ふはいづこの里のならひぞや。あはれ、げにそは問はまほしくをかし」。台風12号は大雨を降らして日本海へと去ります。いよいよ秋を感じる季節となる。なんとなく一節を思い出しました。
 馬場区の9-6常会に住んでいます。先日、地区で祀る「地蔵祭り」がありました。紅白のモチ投げをして区民と共に楽しみました。地蔵盆とは何でしょうか。そんなことを考えながらお手伝いをしました。たしかその昔読んだ「ブッダのことば」を思い出しました。釈尊はいいます。善い人は、僅かではあっても、正しく頒ち与えるならば多くの人々に勝つ。ただ物をくれてやるのが勝つのではない。たとえ僅かのものであっても、信仰心をもって与えるならば、この人は来世において安楽となる。すべての欲望を断ち、心のいらいらする思いを制し、ここに心が滑らかに静まって、静けさに帰した人は、安らかに臥す。まったくの無心でしたが思い出しました。すなわち、良きものを頒ち与えたら、必ず良きものが返ってくる。アンの入っていない白モチを人にあげると、中にアンが入って返ってくるといいます。人はいいものも悪しきものももらったら返してきます。いいものばかりもらっても苦しくなるから、相手が喜ぶものを返そうとする教えがモチ投げです。熊本県の小国の里では「モチ投ぐるとダゴ返る」といわれています。その通りだと思います。いい勉強をしました。

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