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第244回 嘘のない社会

 旧川鉄時代の友人である中部大学の武田邦彦教授の論文は注目に価します。福島第一原発事故から早一年以上もたちました。技術の国ドイツはいち早く原発の幕を下ろしました。その巨大なるエネルギー政策は無理であり、今も4号機は赤ランプの点灯中です。「デマや風評の発信先はほかならぬ政府にあると思う」。東日本大震災直後に襲った15m級の津波によって格納容器が壊れたと専門家が発言しましたが、それは全く嘘です。標高43mあるタービン建屋に15m級の津波が来ましたが、建物は壊れていません。つまり、原発建屋には波は来ていないのです。ここが武田教授の言う問題点です。事実は南側のテトラポットから乗り上げ、後方から海水が回り込み、電源系統が集中している地下が浸水して電源がやられたことが原因であるというのです。これは、建物の構造とその設備の不備により発生したものと考えられます。それにしても、原発を稼動させれば放射性廃棄物が出るに決まっています。要は、原発の電気欲しさを優先し、廃棄物を始末することもなく、厳しい安全基準も設定していないのです。そして重大な事故があっても首都東京に危険が及ばない地方で、なし崩しに運転を続けさせます。日本が原子力に踏み込むとき、「原発推進機関から独立した機関が安全審査を行う」と事前に決めておいたにも拘らず、推進する経産省の組織間に「原子力安全保安院」という矛盾した組織を作りました。福島第一原発の事故後、再稼動のための「ストレステスト」を保安院が行うことになっても、その矛盾を指摘するマスメディアはありません。「被爆はできるだけ少なくしましょう」 などと言っていた専門家や国の機関が、福島原発事故が起こるやいなや、なにが本当なのか「ある程度被爆しても大丈夫」とか少々なら食べても良いと言い出しました。また、地震災害の救助に駆けつけたアメリカの航空母艦は一瞬にしてにげました。法律で定められた安全基準ですら全て無視されました。この現象は偶然に起こるはずはありません。「いつ原発を再稼動させるべきか」の議論は、安全に運転するだけの能力が備わってからでも遅くないはずです。嘘のない誠実な社会を作り出すことこそ、今は唯一の道筋ではないでしょうか。参考にして下さい。

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