IWABEメッセージ
第249回 修身の教え
秋の夜長は読書に限ります。そこで取り出したのは『国民の修身』の教科書です。あまりにも考えさせられるのでとうとう朝方になってしまいました。昭和3年発行の『尋常小学校修身書児童用巻3』です。人間本来の正しい姿を見直す切っ掛けになり戦前の教育のすばらしさを実感しました。現在の小学3年生の知力は世界ランク20位だそうです。なんでここまで急落したのでしょうか。本居宣長、上杉鷹山、細井平洲、春日の局等の師を敬う心、そして、勇気と堪忍の心、倹約と恩を忘れない心、くわんだい(寛大)と健康の教え等が注意を引きます。「むかし貝原益軒という名高いがくしゃがおりました。ある日外に出てゐたあひだにるすゐのわかものがとなりの友だちと、にはですまふをとって、益軒がたいせつにそだててゐたぼたんの花をおりました・・・・・・・・・。と本文はつづいていきます。現代文で読み安すくしましょう。戦前の修身を知る一助となり、人間の姿を見直すことになれば幸いです。恥ずかしながら始めます。(健康を大切にしよう。)「二十.寛大」。昔、貝原益軒という名高い学者がおりました。ある日、外に出ていた間に留守居の若者が隣の友だちと、庭で相撲をとって、益軒が大切に育てていた牡丹の花を折りました。若者は心配して、益軒の帰りを待ち受け、隣の主人に頼んで、過ちを詫びてもらいました。益軒は少しも腹を立てた様子がなく、「自分が牡丹を植えたのは楽しむためで、怒るためではない」と言って、そのまま許しました。人の大きさと心を教えています。「六.整頓」本居宣長はたくさんの本を持っていましたが、いちいち本箱に入れてよく整頓しておきました。それで夜は明かりをつけなくても、思うようにどの本でも取り出すことが出来ました。宣長はいつもうちの人に向かって、「どんなものでも、それを探す時のことを思ったならば、しまう時に気をつけなければなりません。入れる時に少しの面倒はあっても入用の時に、早く出せる方がよろしい」と言ってきかせました。ふさわしい道徳教育には普遍の価値があります。いま問い直されるのは徳育ではないでしょうか。正しい日本人の姿を創造するために。