IWABEメッセージ
第274回 公孫樹の魔力
鶴が岡八幡宮の境内には、本殿にむかう石段の左手に、名物の大きな公孫樹がありました。晩秋には黄金色の葉が山からの突風にあおられ、いっせいに落葉します。まさに美眺です。「いいものを見ました。これってきっといいことがある前兆ですよ」。友人の一言を思い出しました。不幸な男でもあり、さみしがり屋でもあります。
毎年二月の初旬には香川県高松市塩江町に鎮座している「いちょう杜、岩部八幡神社」に参拝します。工事の安全、商売繁盛、病気平癒を祈願することを目的とします。驚くなかれお参りしてからの御力には感謝、感謝で一杯です。社記によれば天平年中(718~48)の創祀といわれています。古くより、氏子の人々はもとより、各時代の武将、大名より厚く崇敬され武運隆昌の神と崇められてきた神社です。正面大鳥居の両脇に県指定天然記念物として樹齢約600年の公孫樹の大木があり、左(雌木)で太さ8メートル樹高55メートル、右の(雄木)は太さ6メートルで昭和45年4月30日指定されました。これこそ「いにしえからのおくりもの千年の杜」に相応しい。この不思議な力を持った大公孫樹の実の入った御守りは大きな魔力を持ち幸をよびます。
秋には黄色の種子を結び、内には白色硬質の核があります。これを「ぎんなん」といい緻密で美しい。この力を一杯に含む岩部八幡神社「御守」は社員の守です。大切にして下さい。ひと昔も過ぎたであろう晩秋のあざやかな黄金色のイチョウの葉を思い出して「綺麗ですね。きっと幸せになりますよ」。今もその声が頭に蘇ってきます。だから公孫樹と言うのでしょう。孫の代に身を結ぶという神の木だからです。
仕事とは一気呵成にやるものです。何が一番大切か、何から片付けていけばよいかであり、今しなければならぬと分かった以外は捨てます。すなわち一点に集中する教えです。悩みがあったらどんな信仰を持っている人でもお宮を訪ねなさいとC.W.ニコル氏は言います。これが仕事観であり公孫樹のもつ意味だと思います。
良いお年を迎えて下さい。