プレサンスコーポレーションの本社２７階から大阪城は眼下に入ります。素晴らしい景色です。大阪冬の陣、夏の陣という栄枯盛衰の歴史が目に浮かびます。たしか２００９年の東京商工リサーチのデータを保管してあることを思い出しました。それによると日本全国で創業１００年を超える企業は２０，１６６社あります。同業者の「金剛組」は世界一の長寿会社です。大阪の会社です。寺社仏閣建築の設計・施工、城や文化的建造物の修理復元を手掛けています。創業はなんと西暦５７８年で、四天王寺を建立するため、当時の百済から聖徳太子によって招かれた宮大工、「金剛重光」が始祖だというから、すごいことです。法隆寺、大阪城なども金剛組の施工だそうです。さらに驚くのは、創業から１４００年の長きを金剛一族が経営してきたといいます。どんな名家でもよほどのことでない限り三代で滅びるといわれていますが、どんな教育をしてきたのでしょうか。おそらく多大なる苦渋の連続であったはずです。昭和７年、第３７代は、無類の職人気質で営業活動などさらさら念頭になく極度に困窮、ついに、先祖代々の墓前で自殺したと聞きます。
 しかし、「妻よしえ」が歴代初の女棟梁として第３８代を継ぎ、昭和３０年に株式会社として再生します。鉄筋コンクリート工法が脚光をあび、日本建築本来の優美さを持つ独自の工法を開発し、２００６年に高松建設株式会社の出資を受け、その伝統の技術と心、従業員、宮大工といった人材をすべて引き継いでスタートしました。宮大工１２０名の技を、その伝統工法の融合を願う若い力によって、会社が守られます。１０００年以上の歴史を誇る企業は現在８社あるといいます。すばらしいことです。「企業は、技術やノウハウの習得ばかりか、継承の才に長けてこそ、優れた組織といえる」。並大抵の後継者教育では実現できないと思います。本当に仕事のできる人間は自分が培ってきた知識やノウハウ、ネットワークを部下、後輩に伝える技術に長けています。そして、それをあとに続く者に惜しむことなく伝える情熱と懐の深さを持っています。そういう人間が多くいる会社こそ、本当に強い会社なのです。大阪城を上から見ていろいろと思い考えさせられました。ご安全に。