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第279回 合理的な自然の知恵

 「ネパール地震で死者6500人」とカトマンズ共同通信が発表、まだまだ余震はつづき、さらに犠牲者は増大と報道されています。日本でも各所に発生していますが、特に箱根大涌谷の地下マグマの変化や蒸気の噴火で火山性微動等がテレビで報道されています。しかし、科学者達の答えはなぜか不明です。昭和の初めに、丹後の天橋立あたりにあった地震。そのとき、そこに住んでいる漁師たちは、前日にこれを予知して、仕事を休み、船を全部引き上げておいたため災害を免れました。これは新聞記事にもなったそうです。その理由は「浜がいつもより温かかった」というものです。地震は地下エネルギーの飽和点で起こるので、浜辺がいつもより温かかったとしても不思議ではありません。しかし、これはごく微妙な差でしょう。その差を感知できるのは、日常からの観察のおかげです。現代科学のデータは第六感に近い観察能力など問題にはなりません。私たちの祖先は科学こそ知らなかったですが、その基礎になる自然観察の能力においては、はるかに凌駕していたといえるでしょう。江戸時代の三河の国(愛知県)にある名医がいました。このエピソードはいささか奇妙ですが、ある日、地震を予知した彼は、丘の上に登って藁を燃やして、寺の鐘を叩きました。村人たちは何事だろうとして、丘の上に集まりました。その直後に津波が襲い全村の家屋が水にさらわれましたが村人達は助かりました。その村に碑が立っています。彼が予知した根拠は「人間の脈」だといいます。ネズミは家事を予知して家から逃げ出すといいますが、日ごろネズミを観察していなければ、それを知ることは出来ません。モグラは洪水のあるなしにかかわらず危険な状態になれば逃げ出すわけです。溺れたモグラの話は聞いたことがありません。このように、天変地異を予知した人々の例は枚挙にいとまがないのです。いまだに、自然観察からの報告はありません。箱根の温泉タマゴはまだまだ安全に食べられます。科学者よりも自然が当てになります。

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